サッカーの競技特性と特異性を理解したフィジカルトレーニングのススメ

こんにちは! ウイキシ(@uikishi)です。

皆さんサッカーはお好きですか?

今の時代、男性でも女性でも一度も見たことが無い人はいないでしょうし、プレーをした事がない人もかなりの少数派でしょう。
また、お子さんがプレーしているお父さん・お母さんも多いのではないでしょうか?

今回は、元々フィジカルトレーニング専門のサッカーコーチがどんな事をベースにトレーニングを組み立てているかを書いてみます。堅い表現も多いですが、お付き合いいただけると幸いです。

 

はじめに

算数の勉強をするのに、国語辞書を買って来ないですよね?ゴール(目的)があって、そこに到達をする手段があるわけです。なので、まずはしっかりとゴールを設定する事がとても重要です。

ゴールを設定した後にトレーニングを組み立てていく上で、絶対に必要となる事が競技の特性を理解する事です。

というわけで実際に確認してみましょう

ゲームの目的

制限時間内に得点を競う

↑これが最終的なゴール(目的)となります

ルール

・コートサイズは105m×68m(国際大会)

・ボールを足で扱う
※キーパーはペナルティエリア内で手を使うことができる

・11人 vs 11人で行う

・試合時間は45ー15-45
※タイムアウトは無し
※ランニングタイムでアディショナルタイムで調整

オフサイドがある(説明は省略)

・ゴールがある:7.32×2.44メートル

・フィジカルコンタクトがある

・イエローカード2枚、レッドカード1枚で退場
※数的有利・数的不利が存在

・一度交代をすると再出場は不可

 

競技特性と特異性の分析

競技特性

足でボールを扱うという競技特性上、片足で動的なバランス保持をする機会が多い

無酸素・乳酸解糖系・有酸素運動すべてのエネルギー系統を利用する。ただし、間欠性持久力の要素が非常に強く要求される
更に交代枠は3名(延長戦は+1名)で再交代が認められていないため、1試合を通じてプレーができる基礎持久力も重要。

ボディコンタクトがある程度許容されているため、体重管理・体幹の安定性・重心のコントロールといった要素が必要

現在のサッカーはオフサイドルールを利用して、コンパクトなフォーメーションで組織的に守備を行う。そのため、プレースペースは非常に狭く判断スピードと爆発的パワーが求められる。

11対11と非常に多くの人数がプレーをするため、基本的には全てを把握することは不可能。しかし空間把握能力を向上させることや個人戦術・グループ戦術を理解することで効率良く攻守のプレーを選択する助けとなる

ポジションにより要求される技術やフィジカル能力に差があり、様々な選手にプレーのチャンスがある。

特異性

足でボールを扱う非常に特殊な競技
更に個人競技ではなく対人競技である・屋外で天候の影響を受ける・グラウンドからも影響を受けるので、プロ選手であっても自由自在にプレーをするというレベルには基本的には到達することができない。
結果的にある程度のレベルまでは数的同数の場合は守備の勝率の方が高くなる傾向にある。

ボールは基本的に地面を転がっているため視線が下がり、コート全体を把握することが非常に困難

片足でのストップ動作や片足での支持が回数・バリエーションともに非常に多い

他の競技とは違い、両足でプレーをすることにメリットがあり、重要となる
(例:ゴルフや野球ではメリットが少ない。なので、コンディショニング目的以外ではあまり逆の練習をしない)

ボールを蹴る・止めるという動作も繊細な足首のコントロールやダイナミックな股関節のコントロールが必要で、他競技から流用できそうなものが少ない。

年代が上がり、レベルが上がるとオープンスキルを短時間に複数同時に連続して実施する事が必要となる。(若年層のトップレベルはすでにこの要素が求められている)

 

必要となってくる能力を考えてトレーニングメニューを作る

・コントロール、ドリブル、キックの3種類の技術のバリエーション、正確性、スピードの向上

 

・技術的な要求に応えるための、片足での支持をベースとし重心と末端のコントロールを可能にするための基礎運動能力

 

・トップレベルでのコートサイズとプレーテンポから逆算をして、そこに到達するためのスプリント能力(+ブレーキ能力)とエネルギー系を考慮した持久力

 

・戦術的要求に応えるための状況判断を可能にする認知能力、様々な方向へ効果的に動くための総合的なアジリティ能力

 

・ボディコンタクトに耐えるための筋力・バランス(復元力)・コンタクトスキル

といった要素を獲得するために、若年層からトップまでをトータルで考えています。
これを私が指導をしているスクールなら週に1回のペースで指導をしていくことになります。たまにドリブルの練習ってもっとやらないんですか?とか聞かれる事があるのですが、「今は〇〇と〇〇を優先してトレーニングしています」というように説明をするようにしています。

レギュラーに近づくには○○を速くしよう 足を速く 子供の足を速くするために、今すぐできる4つのトレーニング

 

ただ、現実的にサッカーコーチの立場で話をすると、いやいやその前にボールを使ってやることいっぱいあるから!となります。知ってます。私もその状態です(笑)重々承知です。

ただ、選手に対しては目的(ゴールを奪う、ゴールを守る)から逆算をしたプレーをしようという話をしているのなら、コーチもそうすべきです。トップレベルになった時に「フィジカルが~」って言うんだから、それは下のカテゴリーのトレーニングの積み重ね以外の何物でもありません。

 

最後に、手段に関しては何でも大丈夫だと思います。ただ、「なんとなくコーディネーション」とか「なんとなく体幹」とか「なんとなく筋トレ」とかは連続性も計画性も無く、もったいないなぁ というのが私の感想。

今はいろんなトレーニング情報が乱れ飛んでいる世の中ですし、とりあえず試すのもありでしょう。そんな中でこの分析が少しでも選ぶ際の助けになっていれば幸いです。

 

是非皆さんなりの分析をして、10年後・20年後のサッカーをイメージしながらトレーニングを考えてみてください!最後にサッカーの教本にも載ってますが、忘れてしまいがちな一言で締めたいと思います。

「ここにいる皆さん、指導者は選手の未来に触れているのです。」
 -アンディ・ロクスブルク(ヨーロッパサッカー連盟テクニカルダイレクター)