競技特性?
サッカーというのは実はかなり特殊な競技です。
足を使うということで技術的な負荷が高く、それでいて人数も11人対11人と人数も多く戦術も複雑です。

その理解を進めるヒントの一つが
「サッカーの競技特性を改めて理解する」
だと思っています。
目的の整理とルールの理解
その競技の本質的な部分を理解したい場合、ルールの理解を避けて通る事は不可能です。何故なら、本質的な部分はルールによって規定され、ルールによって変更されていくからです。

ルールを理解するメリットはこちらの記事に纏めています。
興味がある方は是非読んでみて下さい。
サッカーのゲームの目的
制限時間内に得点を競う
主なルール
・コートサイズは105m×68m(国際大会)
・ボールを足で扱う
※キーパーはペナルティエリア内で手を使うことができる
・11人 vs 11人で行う
・試合時間は45ー15-45
※タイムアウト無し
・オフサイドがある(説明は省略)
・ゴールがある:7.32×2.44メートル
・フィジカルコンタクトがある
・イエローカード2枚、レッドカード1枚で退場
※数的有利・数的不利が存在
・一度交代をすると再出場は不可
ルールの理解⇒競技特性の抽出
競技特性と求められる能力
(競技スキル・テクニックは除く)
一定の平面的な広がりを持つ共有の空間において、相対する競技者集団が一つの球体を設定された目標空間にゴールさせ、得点の多寡を競い合う競技
同時に同じコートで敵味方が入り乱れるため、
・スピード(重心加速・重心移動速度)
・アジリティ(ブレーキ動作・方向転換スキル)
・状況を把握するためのスキャニング能力
キックをするためには片足または両足を地面から離す必要がある
・片足で動的なバランス保持をする機会が多い
・ボールをキックするための動的柔軟性
・正確にボールをミートするための動体視力
・定位能力の上位概念としてのタイミング
サーフェスは土・天然芝・人工芝など様々。
スパイクを着用
基本屋外で行うため天候・風の影響を受ける
タイムアウトは無し。
一度交代すると再出場は不可。
ポジションやリーグレベルに応じて1試合の走行距離は変化するが、7km~13km程度の走行距離がある。
・1試合を通じてプレーができる基礎的持久力
・コートサイズが広く、キックを使うためボールスピードも速い。そのため無酸素・乳酸解糖系・有酸素のすべてのエネルギー系統を利用する。特に間欠性持久力の要素は非常に強く要求される。
競技特性の抽出⇒素要素に分解
・パワー
・体幹安定性(スタビリティ)
・股関節動的柔軟性
・伸張反射の活用

・パワー
・体幹安定性(スタビリティ)
・体幹可動性(モビリティ)
・上肢との連動
・動的バランス

・スピード持久力
・基礎持久力
・有酸素性持久力
・間欠性持久力
・最大酸素摂取量(Vo₂max)
・スペーシング
・タイミング
・グレーディング

・動的柔軟性
・静的柔軟性
トレーニングの構築
必要な要素の分析が終わったら、トレーニングの原理・原則に従ってプログラムを作成していきます。
最終的なパフォーマンスから逆算をしたトレーニングを、年代別・段階別に調整をしながら構築していきます。
ここがコーチの腕の見せ所ですし、一番楽しいところだと個人的には思っています。
今回の素要素はトレーニングプログラムを作成する時に考慮する一つの要素にすぎません。上手く組み合わせる事で同時に複数の要素に効率よく刺激を入れる事ができます。
最後に
現実的にサッカーコーチの立場で話をすると、いやいやその前にボールを使ってやることいっぱいあるから!となります。知ってます。日々私もそれで頭を悩ませています。
ただ、選手に対しては目的(ゴールを奪う、ゴールを守る)から逆算をしたプレーをしようという話をしているのなら、コーチもそうすべきです。トップレベルになった時に「フィジカルが~」って言うんだから、それは下のカテゴリーからのトレーニングの積み重ね以外の何物でもありません。
まずは何が足りていないのかをしっかりと分析しましょう。それが分かれば後は簡単です。今はいろんなトレーニング情報が乱れ飛んでいる世の中ですし、「間欠性持久力 トレーニング オススメ」とか検索をすればすぐに動画付きで出てくる世の中です。
フィジカルコーチはこういった事を四六時中考えている人種なので、興味があればフリーのコーチを検索して個人指導やグループ指導を依頼してみてください。必ず新たな発見や気付きをくれると思います。
私も10年後・20年後のサッカー界のために『今』を大事にしながら日々指導にあたりたいと思います。